KMIが参加しているプロジェクトをご紹介いたします。
ATLAS実験は、スイス・ジュネーブ近郊の欧州原子核研究所(CERN)にある世界最高エネルギーの陽子陽子衝突型加速器Large Hadron Collider(LHC)を用いて、未知の素粒子現象の発見を目指しています。38カ国から177の大学・研究機関が参加し、3000人におよぶ研究者による国際共同プロジェクトです。2012年7月にヒッグス粒子を発見しました。戸本教授が率いる名古屋大学の研究チームは、ヒッグス粒子や新粒子から放出 されたと考えられるミューオンが陽子陽子衝突事象の中に存在するかどうかを判断する「ミューオントリガー」のエレクトロニクスやソフトウェア の開発・建設・運転、未発見の素粒子現象の発見に向けたデータ解析など、プロジェクトの様々な側面で主導的な役割を担っています。
茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器で生成される膨大な素粒子反応をとらえる改良型の測定装置がBelle II(ベル・ツー)測定器です。Belle II 実験は、23の国と地域から700人以上の研究者たちが参加する世界有数の国際共同プロジェクトです。飯嶋徹教授が率いる名古屋大学の研究チームは、「TOPカウンター」と呼ばれる新型粒子検出器の独自開発と建設・運転、KMIの高性能コンピュータシステムによる大量のデータを処理手法の開発、新現象発見に向けたデータ解析など、プロジェクトの様々な側面で主導的な役割を担っています。
Belle II 実験プロジェクトのニュース記事はこちらです。
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The Compton Spectrometer and Imager (COSI) は、NASAの次期SMEX衛星として2025年打ち上げ予定で開発を進める宇宙 MeV ガンマ線観測衛星である。1990-2000年の大型ガンマ線衛星Compton搭載のCOMPTEL検出器以来の全天MeV探査計画であり、遥かに小型であるものの、Ge半導体ベースのコンプトン望遠鏡による高いエネルギー分解能を特徴とし、銀河系内の核ガンマ線輝線の探査と得意とし、その他多くの宇宙高エネルギー現象の観測に威力を発揮する。UC Berkeley とNASA/GSFCを中心に、フランス、イタリア、台湾、そして日本の国際連携で開発される。日本はコンプトンカメラ解析、放射線モニター開発、ダークマターや雷ガンマ線サイエンスを貢献する。
チェレンコフ望遠鏡アレイ(Cherenkov Telescope Array、CTA)は 20 GeV から 300 TeV の超高エネルギーガンマ線を地上から観測する国際天文台の計画です。超新星残骸や活動銀河核など、銀河系内外に多数存在する超高エネルギー天体を観測します。さらに暗黒物質の対消滅により発生すると期待されるガンマ線を世界最高感度で探査することにより、世界初の暗黒物質の間接的発見を目指しています。2020 年代に 100 台以上の望遠鏡を南北半球に建設することを目指し、名古屋大学では望遠鏡の焦点面カメラや光検出器の開発、望遠鏡シミュレーションなどで主導的な役割を果たしています。日本語ページはこちらです。
DECIGO (DECi-hertz Interferometer Gravitational wave Observatory)は、
0.1~10 Hzの周波数帯を狙う宇宙重力波望遠鏡であり、1,000 km離れた3台の宇
宙機とそれらを結ぶレーザー干渉計で構成されます。DECIGOの最大の目的は、宇
宙誕生直後のインフレーションの期間に発生したと考えられる原始重力波を直接
観測し、宇宙誕生の謎を解き明かすことです。また、ダークエネルギーの特性評
価や巨大ブラックホールの形成メカニズムの解明など様々なサイエンスも期待さ
れています。我々は、まず、DECIGOの前哨科学衛星であるB-DECIGOの2034年の打
ち上げを目指しています。名大(KMI)は、DECIGOの中心的研究機関の一つです。
0.1~10 Hzの周波数帯を狙う宇宙重力波望遠鏡であり、1,000 km離れた3台の宇
宙機とそれらを結ぶレーザー干渉計で構成されます。DECIGOの最大の目的は、宇
宙誕生直後のインフレーションの期間に発生したと考えられる原始重力波を直接
観測し、宇宙誕生の謎を解き明かすことです。また、ダークエネルギーの特性評
価や巨大ブラックホールの形成メカニズムの解明など様々なサイエンスも期待さ
れています。我々は、まず、DECIGOの前哨科学衛星であるB-DECIGOの2034年の打
ち上げを目指しています。名大(KMI)は、DECIGOの中心的研究機関の一つです。
DsTau実験(CERN NA65)は、タウニュートリノビームの生成量、エネルギー分布を正確に測定(予測)することを主目的とした実験です。測定があまり進んでいないタウニュートリノの精密測定が可能になれば、標準理論を超えた物理の可能性を精査できるようになります。
欧州原子核研究所(CERN)で400GeVの陽子ビームをタングステン等の標的板に照射し、陽子と標的原子核の反応で放出される2次粒子を生成します。その中からDs粒子という短寿命チャームの崩壊を探索し、その割合とエネルギー分布から放出されているタウニュートリノのフラックスをエネルギーの関数として測定します。この崩壊は、数ミリ以内の飛程でカスケード状に起きるため、位置分解能に秀でた原子核乾板トラッカーを使って捉える必要があります。
名古屋大学は原子核乾板フィルムの製造、飛跡読み取り、反応解析で貢献しております。2021年からビーム照射を開始し、現像後の原子核乾板は名古屋大学の高速飛跡読み取り装置(HTS)でスキャンし、データを解析を行っています。
欧州原子核研究所(CERN)で400GeVの陽子ビームをタングステン等の標的板に照射し、陽子と標的原子核の反応で放出される2次粒子を生成します。その中からDs粒子という短寿命チャームの崩壊を探索し、その割合とエネルギー分布から放出されているタウニュートリノのフラックスをエネルギーの関数として測定します。この崩壊は、数ミリ以内の飛程でカスケード状に起きるため、位置分解能に秀でた原子核乾板トラッカーを使って捉える必要があります。
名古屋大学は原子核乾板フィルムの製造、飛跡読み取り、反応解析で貢献しております。2021年からビーム照射を開始し、現像後の原子核乾板は名古屋大学の高速飛跡読み取り装置(HTS)でスキャンし、データを解析を行っています。
フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡(フェルミ衛星)は 2008 年に NASA によって打ち上げられた、ガンマ線観測衛星です。大面積望遠鏡(Large Area Telescope、LAT)とガンマ線バーストモニターの 2 つの検出器を搭載し、LAT は 20 MeV から 300 GeV の高エネルギーガンマ線を観測します。名古屋大学はこのうち LAT チームとしてフェルミ衛星に参加しています。LAT はこのエネルギー範囲で世界最高のガンマ線検出感度を持ち、これまでにガンマ線観測による暗黒物質の間接探査で銀河中心や矮小楕円体銀河の観測で、暗黒物質衝突断面積に最も強い制限をつけてきました。日本フェルミ衛星LATチームのHPはこちらです。
GRAINE実験(Gamma-Ray Astro-Imager with Nuclear Emulsion)は、sub-GeVおよびGeV帯域の宇宙ガンマ線精密観測を行うプロジェクトです。世界最高の角度分解能、世界初の偏光有感、世界最大の口径といった特徴を実現する原子核乾板からなるガンマ線検出器(エマルション望遠鏡)を開発し、大気球に搭載して大気トップへ打ち上げ、観測します。
2018年に豪州で実施した気球実験でガンマ線天体の世界最高解像度でのイメージングによって性能を実証、2023年からは望遠鏡の大型化、飛翔時間の長時間化、気球実験の繰り返しによる科学観測を開始します。
名古屋大学の研究チームは、名大製原子核乾板の開発と供給、観測機器を上空へ運ぶ与圧容器ゴンドラの開発、原子核乾板飛跡データの高速読取と解析を担当しています。
2018年に豪州で実施した気球実験でガンマ線天体の世界最高解像度でのイメージングによって性能を実証、2023年からは望遠鏡の大型化、飛翔時間の長時間化、気球実験の繰り返しによる科学観測を開始します。
名古屋大学の研究チームは、名大製原子核乾板の開発と供給、観測機器を上空へ運ぶ与圧容器ゴンドラの開発、原子核乾板飛跡データの高速読取と解析を担当しています。
J-PARCミューオンg-2/EDM実験は、大強度陽子加速器施設(J-PARC)(日本・東海村)の物質・生命科学実験施設(MLF)で生成される大強度ミューオンビームを用い、ミューオンの異常磁気能率(g-2)と電気双極子能率(EDM)を革新的な方法で測定する国際共同プロジェクトです。これらの測定から素粒子物理学の標準理論を超える「新物理」の存在を明らかにしようと、世界9ヶ国から100人以上の研究者たちが参加し、2026年からのデータ収集にむけて研究・開発を進めています。飯嶋徹教授が率いる名古屋大学の研究チームは、革新的な実験方法をもたらすミューオンの冷却技術と線形加速器の研究・開発を推進しています。
ミュオン g-2/EDM実験紹介動画
ミュオン g-2/EDM実験紹介動画
XENONnT実験は、液体キセノンを用いた世界最大の暗黒物質探索実験であり、現在イタリアのグランサッソ国立研究所(LNGS)においてその建設が進められています。
XENONnT実験は、世界11カ国から集まった約170人の研究者たちが参加する国際共同プロジェクトで、2019年秋より実験の開始を予定しています。
名古屋大学の研究チームは、スーパーカミオカンデで培われたガドリニウム添加型水チェレンコフ検出器の技術を用いて、暗黒物質発見の鍵を握る中性子除去検出器の開発を行っています。
また、現在世界最高感度で運転を続けるXENON1T実験で得られたデータの解析や、将来の暗黒物質探索に用いるための新しい光検出器の研究開発なども行っています。
XENONnT実験は、世界11カ国から集まった約170人の研究者たちが参加する国際共同プロジェクトで、2019年秋より実験の開始を予定しています。
名古屋大学の研究チームは、スーパーカミオカンデで培われたガドリニウム添加型水チェレンコフ検出器の技術を用いて、暗黒物質発見の鍵を握る中性子除去検出器の開発を行っています。
また、現在世界最高感度で運転を続けるXENON1T実験で得られたデータの解析や、将来の暗黒物質探索に用いるための新しい光検出器の研究開発なども行っています。
JAXA宇宙科学研究所が中心となって開発を進めている、X線天文衛星で、2023年ごろの打ち上げを目指し、プロジェクトが進行中です。0.3-13 keVの軟X線を超精密分光する能力に優れ、6.4 keV の鉄のK殻蛍光輝線に対して 5 eVと、1000倍以上の分光能力を持ちます。これは既存のX線衛星の30倍以上で、銀河団や巨大ブラックホールといった高エネルギー天体の高温プラズマをドップラー観測して、その速度や乱流などの運動をかつてない精度で明らかにすることで、ダイナミックな宇宙の姿を示します。異なる電離状態を区別することや、カルシウムなど宇宙に比較的少ない重元素の定量化にも、圧倒的な威力を発揮し、多くの謎を明らかにします。名古屋大学は分光装置の開発チームと、科学運用チームに参加しています。