所長あいさつ
2020年4月からの2年間に引き続き、次の2年間、素粒子宇宙起源研究所(KMI)の所長を引き受けることになりました。ここで挨拶を述べさせていただきます。
KMIは素粒子宇宙起源機構として益川敏英機構長の下で2010年4月に発足、2018年からは小林誠先生が機構長を引き継ぎました。両機構長のリーダーシップの下で、名古屋大学の支援を受け、理学研究科、多元数理科学研究科、宇宙地球環境研究所と連携を持ちながら、KMIは素粒子・宇宙の理論的、実験・観測的研究を推し進めています。KMIの研究者は、多くの国際研究プロジェクトに貢献しており、後のノーベル賞につながるヒッグス粒子の発見やニュートリノ振動の直接観測などの顕著な結果を導きました。KMIは2019年10月、素粒子宇宙起源研究所と名前を変え、新たに立ち上がった国際高等研究機構(NAIAS)の下で基礎科学のフラッグシップの1つとして位置付けられ、今後のさらなる発展が期待されております。
今後2年間のKMIの運営において、引き続き次の通り努力していきたいと思います。
- ・ 第一級の素粒子・宇宙の最先端研究を進め、分野や国を超えてより人と情報の集まる国際研究拠点になるように努めます。
- ・ 国際的、学際的に卓越した研究者の育成を実現し、また共同研究を通した教育上の国際ネットワークの構築と深化を進めます。
- ・ 新分野創生から始まる重層的な研究の発展によりKMIでは恒常的に最先端国際研究を実施できるよう組織づくりを行います。
- ・ アウトリーチ・国際広報を推し進め、国内外の一般の人から研究者に対して、最先端国際研究拠点としてのビジビリティを高めていきます。
KMI発足から10年が経過しました。これからは、小林・益川両先生のノーベル賞の威光から離れ、KMIの真の実力が問われます。“Beyond Kobayashi-Maskawa”の掛け声のもと、両先生の伝統と革新の精神を引き継ぎ、その専門性を極めるとともに、分野融合、国際共同の研究を推し進め、研究所を発展させていきたいと思います。
所長 久野 純治