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【プレスリリース】ヒッグス粒子のミュー粒子対崩壊反応の兆候を発見

2020.08.11
ATLAS実験が捉えたヒッグス粒子が2つのミュー粒子(赤色の線)に崩壊した反応を含む事象の候補(ATLAS Collaboration/CERN)

欧州合同原子核研究機構(CERN)は、8月3日、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で得られた研究成果に関するプレスリリースを行いました。また、名古屋大学は、8月11日、それに付随するプレスリリースを行いました。名古屋大学は、LHCで行われているATLAS実験に参加しており、大学院理学研究科・素粒子宇宙起源研究所(KMI)の戸本誠(特任教授)、大学院理学研究科の堀井泰之(講師)、加納勇也(研究員)、川口智美(博士後期課程学生)が、この研究に主要な貢献をしました。 ヒッグス粒子からミュー粒子対への極めて稀な崩壊の兆候を、ATLAS実験が2σ、LHCで行われるもう一つの実験であるCMS実験が3σの確度で発見しました。この結果は、誤差の範囲でヒッグス機構の予想と一致しており、ミュー粒子の質量の起源がヒッグス機構にあることを示唆します。これまでの質量起源の研究は、第3世代の素粒子であるボトムクォーク、トップクォーク、タウ粒子に対するものが主でした。ミュー粒子は、第2世代の素粒子の一つであり、本研究は、第2世代の素粒子の質量起源に初めて迫るものです。今後、さらにデータを蓄積して、5σ以上の確度による発見を目指します。

詳しくは、下記のプレスリリース本文(名古屋大学)またはCERNプレスリリースおよびCERNプレスリリース和訳(KMI作成)をご覧ください。

ヒッグス粒子が発見されてから8年が経ちました。この謎な素粒子の性質を明らかにしようと、名古屋大学の若い研究者たちは、世界中の優秀な研究者たちと切磋琢磨しています。(戸本誠/特任教授)

 

ミュー粒子の質量起源をヒッグス機構が担っていることが明らかになりつつあります。長年関わってきた研究なので、とても感慨深いです。今後、LHCの高輝度化により、より多くのデータを蓄積して確度を向上させたいです。(堀井泰之/講師)

 

世代の謎の解明はとても興味深いテーマで、それにつながる結果を本研究で発表できたことをうれしく思います。これからの取得データによる測定と、高輝度化に向けたLHCのATLAS実験のアップグレードを着実に進めて、研究をさらに発展させていきたいと考えています。(加納勇也/研究員)

 

兆候を発見というタイミングでこの研究に携われたことを嬉しく思います。今後、この兆候をより精密に検証し、宇宙の謎の解明にまた一歩迫れることを期待しています。(川口智美/博士後期課程学生)

論文情報

国際会議名称:40th International Conference on High Energy Physics

国際会議資料:https://indico.cern.ch/event/868940/contributions/3813477/
論文タイトル:A search for the dimuon decay of the Standard Model Higgs boson with the ATLAS detector
著者:M. Tomoto, Y. Horii, Y. Kano, T. Kawaguchi et al. (ATLAS Collaboration)
雑誌名:Physics Letters B(投稿済み)
プレプリント:arXiv:2007.07830 [hep-ex]

 

プレスリリース(名古屋大学)
プレスリリース(CERN)