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田島宏康さんが令和8年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞しました

2026.04.09
ニュース / トピックス
受賞

KMI暗黒物質国際研究センターの田島宏康さんが、令和8年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞されました。本表彰は、加速器実験および宇宙観測において高性能なシリコン検出器の設計・開発を主導し、Belle実験、フェルミ・ガンマ線観測衛星、X線観測衛星「ひとみ」などの世界最先端プロジェクトを通じて、素粒子物理学・宇宙物理学の発展に大きく貢献した業績が高く評価されたものです。さらに、これらの技術は高感度ガンマ線カメラとして社会実装にも展開され、基礎研究の成果を社会へとつなげています。

科学技術賞 研究部門

田島宏康

KMI暗黒物質国際研究センター 教授/センター長
名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授

業績名

「シリコン検出器開発による素粒子および宇宙物理の研究」

業績の概要

加速器実験や宇宙観測の分野では、長年にわたりガス検出器やシンチレーション検出器が主流でした。これに対し、半導体であるシリコンを用いた検出器は、粒子が通過した位置やエネルギーを非常に高い精度で測定できる特長を持ち、次世代の検出器として大きな期待を集めてきました。
シリコン検出器は高性能であるがゆえに、その性能を最大限に引き出すためには、実験ごとの要件を踏まえた高度な設計と実装が不可欠です。田島さんは、検出器の構造から信号処理回路に至るまで、各実験の科学目標に適したシリコン検出器システムの設計・開発を主導し、素粒子物理学および宇宙物理学の最前線を切り拓いてきました。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)のBelle実験では、加速器環境下で高精度かつ安定に動作するシリコン検出器の開発を主導し、小林・益川理論によって予言されていた物質と反物質のふるまいの違いである「CP対称性の破れ」を世界で初めて観測する成果に貢献しました。また、NASAのフェルミ・ガンマ線観測衛星では、宇宙空間での長期観測に耐える検出器システムを実現し、ガンマ線バーストの詳細な観測を通じた物理法則の検証や、超新星残骸における宇宙線加速の理解を前進させました。さらに、JAXAのX線観測衛星「ひとみ」では、高エネルギー宇宙から届く微弱な信号をとらえる検出器開発を担い、カニ星雲におけるガンマ線偏光測定という重要な成果を支えました。
これらの成果は、検出器開発という基盤技術が、新しい物理現象の発見や理解に直結することを示しています。さらに、こうした最先端の研究で培われた技術は高感度ガンマ線カメラとして民生化され、放射性物質の可視化や位置特定など、社会的課題への応用にも広がっています。田島さんの業績は、基礎科学に根ざした検出器開発の重要性と、その波及効果を示すものとして高く評価されています。

コメント

この度の受賞は、Belle実験とひとみ衛星という素晴らしいプロジェクトの科学的成果の結晶です。
この栄誉は、私一人の力では到底成し得ないものであり、共に研究に邁進した共同研究者、技術開発を支えてくださったスタッフの皆さん、そして情熱を持って参加してくれた学生の皆さんに深く感謝申し上げます。


主要論文


文部科学大臣表彰について

本表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて顕著な成果をおさめた人々の功績をたたえることで、科学技術に携わる人々の意欲向上を図り、日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的として文部科学省が定めるものです。


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