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【研究成果】兆候から発見へ:世界最高エネルギー衝突型加速器LHCが生成するニュートリノをFASER国際共同実験が初観測

2023.04.04
研究成果

KMIメンバーの佐藤修特任准教授、中野敏行准教授、中村光廣教授、六條宏紀特任助教が参加するFASER国際共同実験(ForwArd Search ExpeRiment at the LHC;フェイザー)が、欧州原子核研究機構(CERN)にある大型ハドロンコライダー(LHC)の第3期運転(2022-2025)に向けて開発したFASER検出器によって、衝突型加速器で生成されるニュートリノの存在に対して十分な確度での観測を実現しました。

FASER国際共同実験は素粒子標準理論の背後にある未知の物理法則を探るため、暗黒物質の解明に繋がる素粒子の発見と未開拓の高エネルギー領域のニュートリノの研究を目指しています。世界最高エネルギーで陽子を正面衝突させるLHCの衝突点からビーム軸方向に生成する粒子群に着目し、480m地点の既存のトンネルを改造して検出器を配置した特色ある実験です。2017年に発足し、日本から名古屋大学、九州大学、高エネルギー加速器研究機構、千葉大学、精華大学、ベルン大学の若手研究者が中核として参加・推進しています。

ニュートリノは非常に高い透過力を持つため測定は容易ではありませんが、日本グループが主導するシリコン検出器が極めて重要な役割を果たした今回の成果について、佐藤修特任准教授は

今回の結果は、LHC加速器の陽子衝突点由来の高エネルギーのミューニュートリノがタングステン・原子核乾板複合検出器で反応し、生成されたミュー粒子を後方のシリコン検出器を用いたスペクトルメーターにより高い信頼性でとらえたものです。今後、原子核乾板でしか判定できない電子ニュートリノ同定やタウニュートリノ同定など詳細解析を進め、ニュートリノの3種類すべて(電子、ミュー、タウ)のフレーバー解析により未開拓領域を切り開いていきます。名古屋大学製の原子核乾板の活躍、詳細解析にご期待ください。

とコメントしています。

本成果は2023年3月19日(日)に国際会議Moriond EW 2023で発表されました。詳しくはプレスリリースをご覧ください。