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中浜優准教授が米沢富美子記念賞を受賞しました!

2021.03.19
受賞
中浜優准教授が日本物理学会による第2回「米沢富美子記念賞」を受賞しました。
中浜優准教授
米沢富美子記念賞は、コヒーレントポテンシャル近似や金属絶縁体転移の理論などの物理学研究の功績を残し、女性初の日本物理学会長を務めた故米沢富美子慶應義塾大学名誉教授の業績を記念し、女性会員の物理学分野における活動を讃え奨励するため、日本物理学会より2019年に設立されたものです。
中浜准教授の受賞業績名は「素粒子標準理論を超えた新しい素粒子現象の解明」で、授賞式は3月14日(日)物理学会年次大会にて開催されました。
この度は日本物理学会から名誉ある米沢富美子記念賞を頂き、大変光栄に思います。名古屋大 KMI はじめ 周囲の皆さまのおかげです。感謝いたします。
新しい物理の発見に向けて、引き続きエネルギーフロンティア加速器実験の研究に邁進します。さらに、領域横断的研究にも積極的に取り組んでいきたいと思います。(中浜優准教授)
受賞情報

物理学会Webページより引用)

受賞業績名
素粒子標準理論を超えた新しい素粒子現象の解明
受賞理由
素粒子研究では力の統一や真空の理解が大きな目標に挙げられる。力の統一においては超対称性理論の理論的な美しさが強く支持されてきた。一方で宇宙観測によって存在が確実となった暗黒物質は未知の素粒子と考えることが一般的であり、超対称性理論が予言する粒子との整合性が良いことも超対称性理論の利点の一つであった。また、ヒッグス粒子の発見によって真空の理解への糸口が見つかり、ヒッグス粒子の自己結合を含むヒッグス場の詳細な検証を進めていくことが今後の方向性の一つと考えられている。
 超対称性理論あるいは素粒子標準理論を超えた物理現象の検証には、精密測定や稀な現象探索による標準理論からのずれ、あるいは新粒子そのものの生成の探索など多様な手法がとられてきた。中浜氏は、BELLE実験においてはB中間子の中性カレント崩壊において新手法を導入してCP非対称性を測定し、標準理論と無矛盾であることを示した。また、ATLAS実験においては、解析責任者として超対称性粒子であるグルーイノやスクォークの包括的な探索を行い、数多くの超対称性理論や暗黒物質のモデルを棄却したことで、素粒子・宇宙物理研究の双方に強いインパクトを与えている。さらにヒッグス場の検証についても深層学習を用いるなど、新しい解析手法を取り入れた先駆的な役割を果たしている。また、LHCがルミノシティーを向上していく上でATLAS実験のトリガー性能を向上することは必須であり、トリガー選別プロジェクトの責任者としてRun2を実現したことは画期的な業績である。
 中浜氏は、精密測定フロンティアの代表格であるBELLE実験で実績を積み、エネルギーフロンティアである巨大なATLAS実験に研究を進めて業績を上げ、若くしてグループの重要なポストに抜擢されるなど、加速器を使った素粒子実験研究者のロールモデルとして活躍している。素粒子分野の将来計画策定にも参画しコミュニティーの活性化に貢献しており、今後も分野を牽引していく人材である。以上のように、中浜氏は米沢富美子記念賞の受賞者に相応しい研究者である。
関連リンク
一般社団法人日本物理学会「米沢賞」