MENU閉じる
名古屋大学公式サイトへ
ホーム » お知らせ » 宇宙構造の起源とアクシオンとの関連

宇宙構造の起源とアクシオンとの関連

2020.07.10
アクシオンポテンシャル(小林特任助教作成)
背景画像:宇宙の大規模構造の数値シミュレーション(Copyright: Image courtesy of Klaus Dolag, Universitäts-Sternwarte München, Ludwig-Maximilians-Universität München, Germany)

名古屋大学 KMI の小林洸特任助教が、アクシオンと呼ばれる素粒子が宇宙構造の起源となった可能性がある事を示しました。この研究成果は、2020年7月1日付で米国物理学会の速報誌Physical Review Lettersに掲載されました。

 

私達の宇宙の銀河や銀河団といった様々な構造は、宇宙が誕生して間もない頃のエネルギー密度のムラ(密度揺らぎ)から生じた事が、これまでの宇宙研究によって分かっています。しかしその密度揺らぎが、そもそもどのようにして発生したのかという疑問は、現代宇宙物理学における最大の謎の一つです。小林洸特任助教は、現在世界中で探索されている、アクシオンと呼ばれる未発見の粒子が、宇宙密度揺らぎの発生において重要な役割を果たしていた可能性を提唱しました。これは宇宙物理学における宇宙構造の起源に関する問題と、素粒子物理学におけるアクシオンとの間の、新たなつながりの可能性に光を当てる研究成果でもあります。本研究で提唱された新理論は、銀河や銀河団が宇宙空間にどのように分布するかに関する予言も含むため、現在計画が進められている宇宙の大規模構造の観測実験によって、近い将来に検証される事が期待されます。

理論がシンプルである点と、宇宙観測によって近い将来に検証できる(はずである)点が特に気に入っています。楽しい研究プロジェクトでした!(小林洸特任助教)

論文情報

T. Kobayashi, “Axionlike Origin of the Primordial Density Perturbation”, Phys. Rev. Lett. 125, 011302 – Published 1 July 2020

https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.125.011302