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[研究成果] 素粒子用写真技術を応用した超高分解能新型中性子検出器の開発に成功!

2019.04.02
研究成果

名古屋大学、京都大学、九州大学、高エネルギー加速器研究所からなる研究グループは、最高で11ナノメートルという未到の分解能を持つ全く新しい中性子検出器の開発に成功しました。KMIからは北口雅暁 准教授が参加しています。

この検出器は、ニュートリノやミューオンなどの素粒子を用いた実験や古代の遺跡の透視等で活躍している素粒子現象を写し出す写真技術を応用したものです。名古屋大学ではこれまで、宇宙の未知の質量の正体と目されるダークマター粒子の微弱な信号を捉えるために、超高分解能な素粒子用写真フィルムを開発してきました。今回、長縄直崇 研究員(名大F研)らの研究グループは、京都大学で開発したホウ素を含む特殊な薄膜にこの写真フィルムの原料を塗布し、中性子検出器として機能させることに成功しました。大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設においてこの検出器に中性子を照射し、中性子の到達位置を分解能100ナノメートル以下、最高で11ナノメートルで決定できることを確認しました。これは、現在利用されている検出器の分解能よりも2桁程度高い、突出した結果です。この研究成果は、平成30年11月21日付欧州科学雑誌「The European Physical Journal C」のオンライン版に掲載されました。

 

(左)開発した中性子検出器の断面図。中性子はホウ素の同位体、ホウ素10に吸収されてイオンを放出する。写真乾板に残されたイオンの飛跡から、中性子が吸収された位置が求められる。 (右)写真乾板に記録されたイオンの飛跡。飛跡の隣の矢印はイオンの飛行した方向を示す。飛跡は3次元的に記録されている。

 

「今回、KMIが誇る原子核乾板と中性子光学の研究が融合し、世界にも例を見ない検出器の開発に成功しました。ダークエネルギーや重力などの研究の強力な手段になると期待しています。」(北口准教授)

 

プレスリリース本文(KEK)

https://www.kek.jp/ja/newsroom/attic/PR20190215.pdf

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20190215_imass.pdf

 

論文情報

The European Physical Journal C, “A cold/ultracold neutron detector using fine-grained nuclear emulsion with spatial resolution less than 100 nm,” (2018)

https://link.springer.com/article/10.1140%2Fepjc%2Fs10052-018-6395-7