基礎理論研究センター 【名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)】

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概要

名古屋大学では、坂田昌一博士らによって独創的な理論物理学研究の礎が築かれ、μレプトンを導入した2中間子論、クォーク模型の基礎となった坂田模型、ニュートリノ振動を予言した牧・中川・坂田理論など、その後1970年代に起きた基礎物理学革命を担う偉大な成果が次々と生み出されてきました。これらがゲージ場の量子論に基づく小林・益川理論、さらには素粒子標準理論に結実し、高エネルギー加速器実験等による検証を経て、小林・益川両博士の2008年ノーベル物理学賞受賞へとつながりました。

素粒子標準理論は、その後、さまざまな実験・観測で検証されてきましたが、 近年、宇宙の精密観測で存在が明らかにされた暗黒物質(ダークマター)や暗黒エネルギー(ダークエネルギー)、さらには、ニュートリノ振動現象の発見など、単純な標準理論では説明できない現象がいくつも報告され、そのほころびも徐々に明白になりつつあります。また、長らく待たれた大ハドロンコライダー(LHC)もようやくに実験を開始し、標準理論の弱点である素粒子質量起源の謎を解く上で鍵となる実験結果も数年内には確実に得られようとしています。素粒子論・宇宙理論を中心とする基礎理論研究は、今や、1970年代に標準理論を生み出した最初の革命期に続く、第2の革命期を迎えていると言っても過言ではありません。

基礎理論研究センターは、これまでの名古屋大学における基礎理論研究の輝かしい伝統を踏まえ、名古屋大学独自のアプローチで基礎理論研究のこの第2の革命期をリードしていくことを目指します。標準理論を超える理論の探求や標準理論のゲージダイナミクスの解明を行う素粒子論部門、ダークマターやダークエネルギーなど宇宙と素粒子の融合研究を行う宇宙理論部門、ゲージ理論・弦理論対応を中心に数理構造研究を進める弦理論・数理構造部門の各部門に加え、専用高速計算機を駆使した数値シミュレーションによってゲージ場理論や宇宙進化を解明する理論計算物理室が密接に協力し、さらには現象解析研究センターとの連携を行うことで、新たな時代の基礎理論を開拓していきます。

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