名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)

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ノーベル賞緊急講演会「ニュートリノ振動とは何か?」を11月7日に開催しました

 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)では、ノーベル賞緊急講演会「ニュートリノ振動とは何か?」を11月7日(土)にIB電子情報館大講義室で開催し、学内外から合わせて200人近くの参加がありました。

 2015年のノーベル物理学賞に梶田隆章博士(東京大学宇宙線研究所所長)とアーサー・マクドナルド博士(カナダ クイーンズ大学名誉教授)が選ばれました。受賞理由は、「ニュートリノ振動」を発見し、ニュートリノに質量があることを示した功績です。今回の講演会は、社会で注目を集めたニュートリノについて、理論的・実験的研究の歴史と現状をKMIの研究者が一般の方を対象に詳しく解説することを目的としました。

 講演会ではまず、棚橋誠治教授(名古屋大学理学研究科/KMI基礎理論研究センター)が、ニュートリノ振動について理論面での説明をしました。「状態の重ねあわせ」という概念を簡単な数式と図を用いてわかりやすく解説しました。理論の話だけでなく、名古屋大学の本研究分野発展への歴史的貢献に関する興味深い話もありました。次に、梶田博士の共同研究者である伊藤好孝教授(名古屋大学宇宙地球環境研究所/KMI現象解析研究センター)から、カミオカンデ・スーパーカミオカンデの歴史とともに、梶田博士が今回の発見に至る経緯について詳しい紹介がありました。最後に中村光廣教授(名古屋大学未来材料・システム研究所/KMI現象解析研究センター)の講演では、異なる角度から今回の発見を検証することになった(講演では中村教授の別の意図が明かされましたが)加速器実験についての話がありました。また、名古屋大学独自の技術を用いた、今後の研究の発展も紹介されました。

 講演終了後に質問を記入した質問票を提出していただき、パネルディスカッションとして、飯嶋教授(名古屋大学KMI現象解析研究センター長)の司会のもと、各講演者に質問をなげかけました。講演で分かりにくかった概念への質問を講演者達があらためて説明したり、「科学予算の限界がある中でどうやって今後の実験的研究をすすめるのか」という考えさせられる質問に対して「研究者のアイディアで勝負」「理論屋が予測をしていく」「宇宙という壮大な実験室を利用する」等の前向きな答えを聞くことができました。

 参加者は中学生から70代の方まで多様でしたが、アンケートによれば講演会は好評でした。一部、講演音声が聞き取りづらい等のトラブルがありましたが、今後の参考にしたいと思います。

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