名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)

名古屋大学

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益川機構長より

ご挨拶

機構長 益川敏英

益川敏英(講義のようす)この度名古屋大学で新たに素粒子宇宙起源研究機構の設置の運びとなり、40年ぶりに古巣の名古屋大学に帰って参りました。私の育った名古屋大学における素粒子論の坂田先生の研究室(E研)はいまでも健在ですが、今回の新しい研究機構では、素粒子論関連のみならず素粒子物理学実験、宇宙物理学に関する理論・実験のグループ、さらには関連する数理物理学などを結集して、素粒子と宇宙に関する根源的な謎の解明に挑み、新たな学問の地平を拓くことを目的としています。

名古屋大学は最後の帝国大学として1939年に創立され、昨年70周年を迎えましたが、戦中の混乱期に発足したために大学としての実質的な出発は戦後でした。そのため私のいた1960年代でもまだ草創期の雰囲気が濃厚で、坂田先生はじめ教授層も若く、学生と同じ目線で一緒に学問を作るという自由闊達さにあふれていました。我々当時の若手も、実績が何もなくても「我々には坂田哲学がある」などとして意気軒昂たるものがありました。実際坂田スクールのアプローチは当時世界的に孤立していましたが、1974年を境に世界の主流となり、我々若手がふんばった場の理論・ゲージ理論の発展もあいまって現在の標準模型につながっています。

時は移り、名古屋大学もほんのりと歴史のようなものが形成され、今後は伝統と進取の両面で独自の価値を創成してゆく必要があります。新しい研究機構はスタッフの量的陣容こそ比較的小振りですが、「山椒は小粒でぴりりと辛い」のたとえのように、目先の流行に惑わされることなく名古屋大学独自のアプローチで世界をリードすることを目指します。
今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。