名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)

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一般相対論誕生100年記念市民講演会を11月21日に開催しました

素粒子宇宙起源研究機構(KMI)では、一般相対論誕生100年記念市民講演会を11月21日(土)に理学部南館・坂田平田ホールで開催し、関東から九州までの広範囲に及ぶ地域から302名の参加がありました。この市民講演会は全国15ヵ所で開催されているシリーズの一つでもあります。
まずはじめに一般相対論・宇宙物理の大家である佐藤文隆さん(京都大学名誉教授)から、1905年に発表された特殊相対性理論のアインシュタインの果たした役割に対する当時の(意外な)認識に触れて頂いた後に、一般相対論発表までの数学者ヒルベルトとのやりとりなど興味深い人間ドラマを披露して頂きました。また、第一次世界大戦中に敵味方関係なく科学者が協力して一般相対論検証に取り組んだ様子を強調され、それがまた世界平和への礎になるであろうという興味深い見解は印象的でした。次に、杉山直さん(名古屋大学理学研究科・KMI基礎理論研究センター宇宙理論部門教授)はアインシュタインが宇宙論でどのように「失敗」し、そしてそれがどのように蘇り、我々研究者を悩ませているか訴えました。
後半では國枝秀世さん(名古屋大学理事・副総長、KMI副機構長)から、ブラックホールの観測的現状をはじめとし、日常における一般相対論の役割の不可欠性について解説がありました。また、梶田隆章さん(東京大学宇宙線研究所長・教授)から今年のノーベル賞に関連してニュートリノ振動に関する当時の研究の熱い様子を触れて頂いたあとで、現在精力的に取り組んでいる重力波観測の現状についてのお話があり、若い世代の参入への期待を強調されました。数年後に国内で本格的な観測が開始されます!
最後に回収した質問票をもとにアットホームな議論が行われました。これから物理を目指す若者に対し佐藤さんが仰った「100年前に一般相対論の礎となったリーマン幾何学から今後革新的な物理が生まれるとは期待できず、何か物理屋が知らない数学が今後の謎の解明などに重要な役割を果たすであろう」には深く考えさせられます。真に未解明なことには我々は明解な答えを持っていない、またないからこそ面白い、ということを再認識させられました。そして各講演者から若い方々へのストレートなアドバイスは貴重なものがありました。ライブならではの楽しく貴重なひとときが共有できたのではないかと思います。
講演者、参加者の皆様に、主催者より感謝申し上げます。
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